浅葱色の忍
御正室様と会う日



朝からごった返していた



「手伝います」

「姫様にそのような!!」

「気にしないで下さい
私もおもてなしをしたいので」


包丁を持ち、大根で飾りを作ったり
していると



「まあ!!素敵!!器用ですね!!」


「ありがとう」



子供の頃から、なんでも出来た

出来なかったのは

忍になることくらい…



「姫様、お味見して頂けますか?」


「ん、美味しい!」


「これも!」


「うん!美味しい!」



普段の少食が嘘みたいに
たくさん味見した



御正室の美賀子様は、俺の2つ下
慶喜は、年上が好みなのだろうか


いや、俺は、好まれたんじゃなく
練習相手だった




昼食を食べながら
美賀子様と慶喜を見ていると
お似合いだと思った


今日は、席を立ってはいけないと
平岡に言われていた


「烝華様 舞踊がお得意と伺いました
御披露して頂けませんか?」


得意と、言ったことはないけど…


平岡を見るとギロギロ睨んでいる

梅沢は、顔色が悪い


この2人が言ったのでなければ

これは、試されている



「得意ということはありません
久しぶりですが、余興ということで
踊らせて頂けます」


まさか、俺が舞踊を習っていたなんて
誰も思ってなかっただろう



一応、琴 歌 太鼓 鼓 色々習っていた


おかんの夢は、俺を良いとこに嫁がせる
練習やとしても、叶ったやん






「素敵!!烝華様!!」

「ありがとうございます」



美賀子様は、良い人そう

慶喜にぴったりだ





美賀子様が帰った後は、片づけを手伝った


「姫様なりません!」


「暇なのでお手伝いさせて下さい」



美賀子様が御正室になったら
俺は、どうなるんだろう





不安にならないように
手伝いでもしてないと




「姫様こっちこっち!」


「姫様 とっても話やすい!」



有難いことに、皆は仕事をさせてくれた







黒船が約束の1年を迎えやってきた

その通訳係で、城に1ヶ月お世話になった




久しぶりに慶喜と過ごす夜




「梅沢が、心配していたぞ
烝華は、無理をしていると…」



「は? してないけど」



これが、役目なんだから



「正室を迎えたら、こうして会うこともなくなるんだな」


「え?」


「当たり前だろ!? 正室を差し置いて
側室が会えるか?」




慶喜は、驚いていた



コイツ……



会う気だったのか?


と、思うと少し嬉しかった






こんなことで、喜ぶなんて






「ふふっ 慶喜
美賀子様は、良い人だな
きっと、楽しいぞ」









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