浅葱色の忍

慶喜の戦い






「烝華を城に連れて帰るって…
烝華の腹には慶喜様の子がおります!」


「烝華は、了承した」





何でだ!?

何で急に…

烝華は、何で了承したんだ?





「慶喜様にとって、烝華はどのような存在ですか?側室だというのなら、それなりに
扱うべきでしょう」




どういう意味だ?




「阿部様、烝華から相談されたのですか?」


梅沢が問う



「見ればわかる
烝華は、このままここにいたら
出産までもつまい
子の為だと言ったら、すぐに了承した」


「そうですか
今日は、調子が良さそうだったのですが
その方が良いでしょうね」



「待って下さい!俺、アイツに聞いてくる!
もしかしたら、我慢とかしてるかも!」


平岡は、すぐに烝華のもとへ行こうとした


「わっ!!」  「ひゃあ!!」




烝華は、部屋の外にいたらしい



「おい!お前は、慶喜様の側室なんだぞ!」


「平岡、そういうのいいから
いない方が平岡も助かるでしょう?」


烝華の言葉に平岡が固まった


「烝華 会いに行くよ」


「うん」


梅沢の言葉に少し笑顔を見せ


「慶喜様 勝手を言って申し訳ありません
家定様のご迷惑にならないよう
気をつけますので」



頭を下げた
烝華を見ても、俺に理由はわからなかった



「慶喜様から掛けるお言葉はありませんか」



阿部に言われても、声を出すことすら

俺には、出来なかった
















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