浅葱色の忍
・  ・  ・












意識が戻るとき





「慶喜様に事情を話したのか?」


「はい」


「大事なかったから良いものの
なぜ、こんなになるまで
気がつかなかったのだ?」


阿部が平岡を責めているようだった


平岡は、懸命に支えてくれた
一緒に通夜をしてくれた


それなのに…   俺は…



目を開けるとまさに阿部に責められ
しょんぼりしている平岡がいた


痛む体を無理に起こした


「おい……寝てろって」


「あ?うっせぇな!もう、平気!」


痛みに耐えながら、うーんと、背伸びをし
布団を畳む


「烝華ゆっくりしてくれ
あんな屋根から落ちたんだぞ」


「なぁ…お前、俺を雇う気まだあるか?」


阿部に言った


久しぶりに平岡の前で、この口調で喋る
平岡は、黙って様子を見ていた



「ある」



阿部は、即答した



「平岡……慶喜に頼まれた任務は、終わった
俺は、忍になる!」





そうや! 俺は、忍になるために
ここまできたんやんか!!





「烝華… 」





平岡は、俺の目を見て
本気だと感じてくれた




「体調が戻ってから、きちんと慶喜様と
話をしろ
慶喜様の忍になる道もある」



「そうだな 慶喜様に断られたら
俺のところに来い!
お前のような優秀な忍なら、大歓迎だ!」



「ありがとうございます」

















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