浅葱色の忍
答えを出せなかった




忍になりたかったから



ずっと 



忍になるために頑張ってきたから












でも… 慶喜の側室でいたい気持ちもある









「すぐに答えを出すことなんて無理だろう
一度、慶喜様のところに戻り
そうだな… 年明けまでは、側室で
翌年どうするかを年内に決める
ということでどうかな?」




阿部の提案に、俺と2人が頷く





慶喜に会うのは、何カ月ぶりだろう





滅多にしない緊張と不安を抱えながら

屋敷に戻る





懐妊中の美賀子と慶喜が揃って
お茶会みたいな歓迎をしてくれたけど


なんだか、2人の仲を見せつけられてるだけの気分になった



側室でいる限り


笑って流さなきゃいけない


久しぶりの自室は、とても綺麗に掃除され
慶喜からの快気祝いらしい


綺麗な着物の贈り物が飾れていた




「烝華様 お久しぶりです」



相変わらず色気たっぷりな女中が
俺の帰りを嬉しそうにニコニコする



「突然城に行ったりして、すみませんでした
また、お世話になります」


「こちらこそ!よろしくお願い致します!」




誰からも、御子の事を聞かれない


すごく寂しくなった



「どうかなさいました?」


「少し… 疲れたので…」


「横になります?」


「はい 夕餉は、食べれそうにないので
そのまま休みます」


「わかりました
後ほど、平岡様が来ると言ってましたが
お断りしておきますね」


「ありがとうございます
助かります」





女中の気遣い虚しく

平岡現る




「仮病じゃねえだろうなぁ?」


「疲れたんです」



布団から顔も出さずに返事をした



「おかえり…烝華」



頭を撫でながら平岡が言ってくれた

頭やらおかえりやら、くすぐったかった










































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