浅葱色の忍
夕餉に間に合うように帰ったけど


部屋の中から気配がした

そっと覗くと

鬼みたいな顔した平岡が
腕組みしていた


「なんだ…平岡か」


天井から降りると


「寝てるんじゃなかったのか?
出掛けるなら、そういえばいいだろう!」


「言うとついてくるとか
護衛がどうとか面倒なことになるでしょ?」


「当たり前だ!お前なぁ!!
慶喜様の側室なんだからな!!」


「別に公表されてないし
私、自分の身くらい守れますから
それに……
私がいなくなっても困らないでしょ?」


「は? お前…
そんなわけ、ないだろ
お前に何かあったら…」


「大丈夫! 平岡や梅沢に迷惑はかけない!
それに、私は捕まっても
口を割りませんよ!」


「違う!
烝華、俺達はお前の事を心配してんだぞ?」


「だから!大丈夫ですよ!」


「強がるなよ!たまには弱音吐いても良いんだ!お前は、大事な慶喜様の側室で…」


「平岡 いいよ
本当、大丈夫です!
そろそろ夕餉だから!」


「烝華!」


「ちゃんと側室の間は、我慢するから!
心配しなくてもいいですよ!」


「だから違うって!!」


「平岡… 違わないよ
ちゃんと身の程知ってるから…
私はね、慶喜様が望むような
ちゃんとした側室には、なれない
努力は、してるつもりですよ
でも… 育ちかな?
どう頑張っても…美賀子みたいになれない」




グラグラと目の前が揺れ



俺は、また




意識を飛ばしてしまった



















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