浅葱色の忍
幹部会議から時間をずらして
屯所に戻る


なるべく、勇や皆に会わないように



「戻りました」


「おう で? 何で顔隠してんだ?」



土方副長は、やっぱり凄い人や



「ちょっと… 女にやられまして…」


と、口元を見せると


笑いもせず


「薬は塗ったのか?」


「はい」


「原田あたりに見られるな
遊ばれるぞ」


「…ハイ」


だから、ずらして帰ったんや!




「山崎 烝華とは、どれくらい年の差があるんだ?」


「12です」


適当に言っておく


「てことは?」


「19になったとこです」


「そうか」


なんやねん! 怖いなぁ!



「いい女だな」


「は?」


「かっちゃんといい仲だって、知ってたか」


「え?まさか…」


「2人して、否定してたが
ありゃ、丸わかりだ」


「そうなんですね」


「かっちゃんは、お人好しだからな
正妻もいるし、深雪もいる、その妹も
困っていると言われたら
ほっとけねぇんだ…
烝華は、ちょっと…別格つーか
俺が知る限り、かっちゃんがちゃんと惚れた、唯一の存在だと思う
見守ってやれるか?」


「人の色恋に興味なくて…
まあ、局長が相手なら不足ありません」


「そうか!良かった!」



土方さんは、勇のことを心配してたんやな
こんな笑顔、初めて見たわ



「お前の方は、上手くいってねえのか?」


「ほっといて下さい!
ちょっとした痴話喧嘩です!」


「殴られるほど?」


気になってたんやんか!?



「別れたので!ご心配及びません!」

「クククッ 悪りぃ!」




長い付き合いの
土方さんが知る限り… かぁ…




女としても、人の陰におるみたいや





光が恋しい

















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