浅葱色の忍
翌日、早朝にコッソリ試合をして
見事に負けた


これほどまでに、完敗とは…



「腹立つ!!!」


「やろうって言ったの副長でしょ!」



くっそぉ!!!





「副長 少々の事は、大丈夫ですよ
だから、遠慮なく使って下さい
俺、怪我しないって局長と約束してるから
無理は、しません!」


「わかった
遠慮しねぇ!
だから、お前も俺達に遠慮すんな!」


山崎は、キョトンと俺を見る



「してない」



真顔で言われた
なんとなくって程度だが


山崎の素顔は、これじゃない

そんな気がした



「してるだろ!」



山崎は、俺をジッと見て
何やら思い当たることがあったらしい


「休みとか、別にいらないですよ?」


んーーー

それじゃねぇな



「上手く言えねえが、もっと近くに来い」



山崎が、俺のすぐ目の前に立ち
見上げてくる


「なんですか?」


内緒話をすると勘違いしたらしい


つーか、烝華そっくりだな



「あのな 皆と仲間として付き合っているのは、わかるんだが
なんつーか、友みたいになれねえか?
上下とか、いってたら、俺は
お前にこんな口聞けねえし
お前、年上なんだし、皆に敬語使わなくても、いいんじゃねえかな」


山崎は、目を丸くして



「……いいのかな」



そう呟いた山崎は


少し嬉しそうだった



「いい!俺が良いって言ってんだ!
文句は、言わせねぇ!!」



「友……か、
友になれたら、楽しそうですね!」



しっかり敬語だったが
山崎のこんな笑顔は、久しぶりだった












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