浅葱色の忍
屯所に戻ったと皆に挨拶をした


勇は、ニコリと笑い

「おかえり」  とだけ、言った




その夜




「副長… もう一つ相談いいですか?」


「おう!」



文机から、振り向いた副長は、なんだか
嬉しそう




「仕事の事では、ないんですけど…」


「女か?」


勇の事やねんけど…


「上手くいってなくて…
原因は、俺なんですけど…」


「心当たりがあるのか?」


「性格なんでしょうが、はなれたくないって気持ちが強いんです
でも相手は、はなれてもよさそうで…
ぽつぽつ、俺のこと好きそうな言葉を
言うんですけど…
意味がわからなくて」


「お前は、夫婦になりてえのか?」


「え…」



違う… そうや…

突き放したのは、俺やんか



「俺は、想い合ってると確信がありゃ
離れててもいい方だな
どっか、繋がってりゃそれでいい
お前は、確信が持てなくて
ちゃんと繋がっている自信がねえから
ひっついて回りてえんだ
女とちゃんと話せよ」


「そうですね…」



勇と話そう


副長、おおきに!




善は急げ!




「勇」


「ん?烝か?」



寝てるとこ、わざわざ起こして
勇の布団の横に座る


「灯りをつけよう」


「つけんでええよ 灯りに気づかれたら
話がでけへん」


「それもそうだね」


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