浅葱色の忍
池田屋の報酬が出た日

新選組の宴を開いた


烝には、烝華になるように
事前に頼んでおいた


宴を早めに抜けて、2人きり





の予定が…






「烝華と会うんじゃなかったか?」


「あぁ」



置屋の主人の勘違いだろう


宴に烝華が来ているのだ…






しかも、私を避け
原田君や永倉君らと仲良くしている




そう、深雪に伝わることを恐れて


2人で抜け出すわけにもいかんな





「呼びましょか?」



事情を知っている
君菊が、私に聞いてきた



「いや、いいよ
楽しそうだからね」



「烝華は、体が弱いから
あんまり表に出まへん
普段も、あんまり見かけまへんし
ホンマは、表におるんが
楽しいんどすやろな」



「へえ 健康そうだけどな」



歳がそう言い、ギクリとする



烝と烝華が同一人物だと
歳なら気がつきそうだから




「近藤はんは、烝華が好みなんどすか?」




山南君の隣、明里が興味津々に
目を輝かせた



「好みというか…」



「こっちに呼んだらええやないどすか?
君ちゃんも、うちも
深雪に言わしまへんよ!ね!」



「いや、いいんだ」





烝華が楽しそうにしているのは
仕事だからで


これは、烝とは違う



嫉妬せず、見ていられるのは
烝の笑顔がいつもと少し違うから





残念だが…






2人きりには、なれそうにないな








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