君に光を
クラスのみんなも準備を手伝ってくれているおかげで順調に進んで学祭まで残り2週間になった。

今日は4人でお化け屋敷の看板作り。
「下書き終わったから色塗ろっか。それにしても暑いね」
看板作りは校舎外でしなくてはいけない。今日は32度と日差しが強い。
「俺飲み物買ってくるわ」
「爽汰!俺、炭酸!」
「私はりんご!」
「たくっ、杏奈はオレンジでいい?」
「うん!お願い!」
爽汰は飲み物を買いに校舎に戻って行った。
「ぱっとやって終わらしちゃお」
「あ、赤の絵の具ない。私取ってくるね」
「りょーかい」
私は絵の具を取りに美術室に向かった。

美術室に着くと健がいた。
気まずいな。
私が美術室に入ると健がこっちを見た。
私は目を合わせないようにして絵の具の棚まで行くと健も近づいてきた。
「杏奈久しぶり」
話しかけられると思っていなかったからびっくりした。
あれ?それに私嫌われてるよね。なんで話しかけてきたの?
話しかけられて嬉しい気持ちと今さらなんでって言う思いが巡った。
「うん。久しぶり」
「杏奈、今時間ある?」
「ごめん、急いでるの」
私はすぐにでもここから離れたかった。
「そっか。じゃあ絵の具選びながら聞いて」
「わかった」
赤い絵の具がなかなか見つからない。
「俺さやっぱり杏奈が好き」
「え?」
びっくりして探す手が止まった。
頭の中が混乱する。聞き間違い?
「今なんて言ったの?」
「俺ともう一回付き合ってほしい。返信は学祭の後夜祭で聞かせて。じゃあ」
健は美術室から出て行った。
健のことは今でも好きかもしれない。よく自分でもわからない。
私は絵の具を持ってみんなのところに戻った。
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