イケメン兄の甘い毒にやられてます
走り出そうとした夕陽を呼ぶ声が聞こえて、振り返ると、圭吾が夕陽の元へ走ってきた。

「…どうしたんですか?他にも忘れ物ですか?」
「…いや、俺、元々忘れ物してない」

圭吾の言葉に、夕陽はポカンとする。

白衣と、身分証を確かに忘れていたはずだ。

夕陽に、今着ている白衣と、違う写真が貼られた身分証が入ったパスケースを見せた。

「…ぁ」
「…写真が変わったから、家に置いておいたんだ。白衣は予備のやつ」

「…」

じゃあ、届ける必要はなかったのか。…携帯に電話してみたら良かった。夕陽はため息をついた。

そんな夕陽を見て、圭吾はフッ笑みを浮かべた。

笑われたと思った夕陽は膨れっ面をする。

そんな夕陽がかわいくて、どうしようもなく愛しい気持ちになった圭吾は、夕陽を思いっきり抱き締めた。

「…なっ?!何するんですか!人が見てます、離してください!」

真っ赤な顔で慌てふためく夕陽。それでも圭吾は放さない。

「…夕陽、ありがとう」
「…お礼なんて、元々要らなかったものだし」

「…今夜は早く帰るから、また、旨い飯作って待ってて、な?」

コツンと、夕陽のおでこに、圭吾が自分のおでこを当てた。

夕陽は相変わらず赤い顔で、コクコクと頷く。

「…学校大丈夫?」
「…へ?…あ!!遅刻!」

夕陽はまた慌て出し、圭吾から離れると、走って行った。
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