イケメン兄の甘い毒にやられてます
高熱と泣きつかれたせいか、夕陽は間もなくして、深い眠りについた。

優は、夕陽の手を握りしめると、空いてるもう一つの手で、夕陽の頭を優しく撫でた。

「…こんなになるまで待ち続けるとか、ほんとバカだよ夕陽は。


こんなことされたら、友達だって言うしかねぇじゃん。


今もこんなに好きなのに…

夕陽のばかやろう」


…寝入ってる夕陽のおでこに、優は優しく口付けた。


「…これぐらい許せよ」

そう言うと、優は夕陽の手を布団にしまい、立ち上がった。

そして荷物を持つと、玄関を開けた。

まだ外は薄暗い。

…そこへ、誰かが血相変えて走ってきた。


「…遅いですよ」
「…夕陽は?具合は?夕陽になにもしてないだろうな?」

「…今寝入ってますよ。薬が効いて、熱も下がってきてます。最後の質問は、神藤先生のご想像にお任せしますよ。俺は帰りますよ。今日も仕事なんで」

意地悪な笑みを浮かべた優は、その場を後にした。

…神藤先生

…圭吾は、そっと玄関を開けると中にはいった。

…そして、眠る夕陽の傍らに腰を下ろすと、おでこに手を当てた。

「…夕陽」

圭吾が名前を呼べば、無意識に寝顔が和らいでいくのがわかった。

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