イケメン兄の甘い毒にやられてます
…カーテンの隙間から、朝日がこぼれ、それが夕陽の顔に当たり、目を覚ました。

…誰かが、手を握っていてくれる。優だろうか?

「…圭吾、さん?」

夕陽の手を握りしめたまま、圭吾はベッド脇にうつ伏せ。

仕事上がりのせいか、少し疲れた顔に見えた。

夕陽は、圭吾の頭を優しく撫でる。

すると、圭吾が目を覚ましてしまった。

「…ごめ、起こしちゃっ?!」

目があった瞬間飛び起きた圭吾が、夕陽のおでこに手を当てて、熱を確かめる。

そして今度は体温計を脇に挟むと、今度は脈拍を図る。

朝の検温だ。驚きつつも言われるままに、従う夕陽。

全てを終え、体温を見た圭吾は溜め息をついた。

「…あの」

圭吾溜め息に不安げにそう言った夕陽。

圭吾はそれに気がついて、フッと笑みを浮かべた。

「…熱、大分下がった」

その言葉に安堵する。…のも束の間。

今度は少し、怒ったような顔の圭吾。

「…なんで、あんな無茶したの?」
「…どうしても…謝りたくて」

「…かえって、迷惑かけたよね?」
「…」

ズバリ言われて、シュンとなる夕陽。

圭吾は困ったように微笑んで、夕陽の顔を覗きこんだ。

「…ちゃんと謝れた?」
「…ぅん」

「…そう、良かった」
「…ぅん」

「…夕陽」
「…何ですか?」

「…もう、心配かけないで」
「…ごめんなさい」

「…俺には夕陽が何よりも大事だから」
「…ごめんなさい…圭吾、さん」

今にも泣き出しそうな夕陽に両手を広げて見せた圭吾。

夕陽はそれに応えるように、その腕の中にすっぽり収まった。
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