イケメン兄の甘い毒にやられてます
2.お兄ちゃん…愛してます!!
その日以降、優と夕陽は、男女の壁を越えた親友になった。

だからと言って、優の夕陽への想いがそう簡単に、なくなるはずもない。

それでも、優は、夕陽の傍で、夕陽の笑顔を見てるだけで、幸せだと思えた。

そう思えるようになったのは、圭吾が、倒れた夕陽の所に駆けつけたときからだった。

いつも冷静で、何事にも動じない圭吾しかみてこなかった。

だが、夕陽が倒れたと聞いた時の電話越しの動揺した声、やっと夕陽の所に来たときの慌てよう。

どれだけ夕陽が大事な存在なのか、かけがえのない人なのか、それを見て、十分に分かった。

…圭吾の傍らにいる夕陽の安心しきった顔。

…圭吾だけに見せる幸せそうな優しい笑顔。

自分にはそれを引き出すことはできないと思った優は、夕陽を見守ることで精一杯だと思った。

「…優君」
「…ん?どうした?」

仕事中、優に声をかけてきた夕陽。

「…一人じゃどうしてもこの箱持てなくて、手伝ってくれる?」

点滴液が沢山入った段ボール。

一緒に持とうとする夕陽を制して、優は一人でそれを軽々と持ち上げた。

夕陽は尊敬の眼差しで優を見る。

優はクスクスと笑ってそれを運ぶ。

「…ありがとう、優君」
「…もっと力つけろよ」

コツンとおでこを小突いた優は、仕事に戻った。

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