イケメン兄の甘い毒にやられてます
…なんちゅう理由だ。

と、思いつつ、困惑顔のまま、夕陽は言った。

「…パパ?」
「…ん~!そう!それそれ!」

…大学病院の教授というから、もっとお堅いイメージだったが、これを目の当たりにした夕陽は思いを改めた。

「…父さん、夕陽ちゃん困ってますよ」
「…あ、やっと来たか、圭吾。夕陽ちゃん、私の息子、圭吾だ。同じ大学病院で、内科医をしてる。これから一緒に住むから、宜しく頼むよ」

女二人の静かな生活に、いきなり男が二人も増えるなんて。

夕陽は少し怯えたような顔で圭吾を見た。

「…宜しく、夕陽ちゃん」
「…宜しく…お願いします」

…圭吾は極上なイケメンだ。

こんな人と毎日顔を会わせるなんて、夕陽の心臓は持たないかもしれないと思わずにいられない。

…食事会は無事に終わり、帰りは学の車で家まで送ってもらった。

「…今週の日曜日から、宜しくね」
「はい!…ぇ」

…日曜日?今日は金曜日…あ、明後日から?はぁ?!

遠くなっていく車をよそに、夕陽は思わず朝陽を睨んだ。

「…どういうこと?ママ??」
「…えへへ」

「…えへへじゃないでしょ?もう!色ボケしすぎ!」
「…だって、学さんと早く一緒に暮らしたくて」

何て言いながら、ショボくれる朝陽を見ると、一気に力が抜けて、怒りも収まってしまう夕陽。

「…もぅ、幸せになってよね」

ふんっと、鼻をならした夕陽に、朝陽は思わず抱きついた。

「…夕陽もパパに甘えてあげてね。パパ期待してるみたいだから」

…先が思いやられると思いつつ、夕陽は朝陽を抱き締め返した。
< 2 / 131 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop