イケメン兄の甘い毒にやられてます

突然過ぎにもほどがある

…そして日曜日。

大きな豪邸の一軒家。広い庭に、白と黒の高級セダンが二台。

その家を見て、夕陽は思わず口をポカンと開けた。

「…何て顔してるの、夕陽。今日からここが私たちの家なんだから、早く荷物運んじゃいなさいよ」

「…え、あ、うん」

重い段ボールを持ち上げた瞬間、直ぐにそれは軽くなった。

「…ぁ」
「…重いものは俺が運ぶから、夕陽は軽いの運んで」

「…呼び捨て」

ポロッと口から出た夕陽を見て、圭吾はクスッと笑うと、荷物を中に運んで行く。

「…イケメンで優しいお兄ちゃんで良かったわね、夕陽」
「…う、うん」

学は仕事のため、引っ越しは、圭吾が全て手伝ってくれた。

「…すいません、お義母さん。突然父に仕事が入って手伝えなくて」
「…え、いいのよ。急患何だから仕方ないわ。仕事熱心な人だから、好きになっちゃったんだし~、それに、圭吾君も手伝ってくれたから、思いの外、早くすんだし、ありがとう」

「…ありがとうございました、圭吾さん」

夕陽も圭吾に礼を言う。

「…いいよ、こんなこと大したことじゃないから。それより、困ったことがあったら、何でも言って」

あんまり優しい顔して言うもんだから、夕陽も思わず笑みを浮かべた。

そんな二人を微笑ましい気持ちで、朝陽は見つめていた。

「…二人とも仲良くやってくれそうで、嬉しいわ」


その言葉の意味を理解したのは、次の日の朝だった。
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