イケメン兄の甘い毒にやられてます
車がいなくなっても、ジロジロ見られる。それが嫌で、自然と早足になる。

「…おい」

あー、野次馬に声かけられた。夕陽は更に早足に。

「…おい!夕陽!」
「…っ?!」

名前を呼ばれると同時に肩を捕まれ、夕陽は顔を後ろに向けた。

「…春人、咲…なんだ、二人か」

春人と、咲は、夕陽の同級生で幼なじみ。クラスも一緒の腐れ縁。

でも、この時ばかりは助かったと大きなため息をついた。

「…さっきのイケメン誰よ?彼氏なんてきいてない!」

咲が怒ったように言う。

「…誰だよ、あの男?」

春人は落ち着いた声で問いかける。

夕陽は苦笑いを浮かべると、事の次第を説明した。

…。

「…なーんだ。彼氏じゃなくて、お兄さんか。夕陽のママもやるね!超玉の輿じゃん」

「…ホントにね」

「…夕陽、義理の兄貴なんだ。あくまでも義理の。アイツに隙を見せるなよ」

「…え?隙って…」

困惑する夕陽は、咲の方を見た。咲は笑って、春人の肩を叩く。

「…まぁた始まった、春人の夕陽への過保護‼夕陽困る事したら、私が許さないよ!」

べーっと、舌をだし、咲は夕陽と腕を組んで歩き出す。

「…ちょっ!俺はただ心配してだなー」

そんな二人を、春人は追いかけながら生徒玄関へと歩いていった。
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