black×cherry ☆番外編追加しました
「か、関係あります。パパも、黒崎さんも、私には・・・すごく、すごく大事な人なんです」

「はあ!?」

「うるせえ・・・!」と叫んだ男は、私にナイフを振りかざす。


(・・・!)


もうだめだ、と覚悟した。

恐怖で息が止まるよう。

そんな、動けずにいる私の身体を、黒崎さんは胸に強く抱きしめた。


その刹那。


黒崎さんはナイフの男を蹴りあげて、今度こそ、男はその場に倒れ込む。

「う、ううっ・・・」

お腹を抱え込んだ姿勢で、苦痛に顔を歪ませている。

言葉にならないような声で、何度も泣き叫びながら。

「黒崎っ!」

「咲良ちゃん・・・!」

いくつかの足音と、大きな声が轟いた。

黒崎さんの腕の合間から、私ははっと目を凝らす。

すると、見覚えのある刑事さんや、岡本さんの姿が見えた。

「咲良ちゃん、大丈夫!?黒崎さんも・・・」

岡本さんは、私たちの元に駆け寄ると、顔を青くさせていた。

黒崎さんは、はあっと大きく息を吐き、私を抱きしめていた腕の力をすっとゆるめた。

「・・・こいつ、早く、どっか連れていけ」

私の身体を、岡本さんの腕に預けた。

黒崎さんの額には、大量の汗がにじんでいた。


(こんなに・・・)


見ると、左腕の流血は、想像よりもひどかった。

ロビーの床も、赤く染まってしまっている。
< 262 / 318 >

この作品をシェア

pagetop