black×cherry ☆番外編追加しました
「ふうん。まあ、事務職は合ってるかもな」

「・・・自分が跡を継がないって決まった途端、お手伝いでって、虫がいい気もするんですけど」

責任が軽い状態で。

それで結局病院に関わりたいなんて、ずるいって思われても仕方ない。

「そうか?家のことも病院のことも、一旦離れて見れたから、そう思えるようになったんだろ。ずるいとは思わないけど」

「・・・そうかな・・・」

「サラリーマンやった後、家業の良さがわかって継ぐって話もよく聞くし。よくあることだろ」


(そっか・・・そうなのかな)


黒崎さんに言われると、肩の荷が降りたような思いになった。

そういう風に、考えていてもいいのかな。

「あ・・・でも、実はもう一つ、興味があるお仕事があるんです」

「へえ・・・なに?」

「刑事さんです」

私が言うと、黒崎さんは「ぶっ!」とコーヒーを吹き出した。

紙ナプキンを急いで渡す。

「は、刑事って」

「黒崎さんや岡本さんを見て、かっこいいなって思ったので・・・」

「・・・」

黒崎さんは、口元を拭いながらなんとも言えない顔をする。

そして、意を決したように私に言う。

「やめとけ、全く向いてねえ」

はっきりと言われてしまった。

「全く」という表現に、ちょっと悲しくなってくる。

「ま、全く、ですか」

「ああ。人間、向き不向きってものがある。体力的にかなりきついぞ。そんな細い身体で、バイオリンばっか弾いてんだ。公務員試験に受かっても、面接で落とされると思うけど」
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