black×cherry ☆番外編追加しました
そう言うと、黒崎さんは私を抱えてズンズン前に歩き出す。

周りにいる釣り人達が、「なんだなんだ」と私たちのことを振り返り、今にも顔から火が出そう。 

動揺を越えて完全パニック。

私は、傷む足を夢中でジタバタ動かした。

「あの、ほんとに・・・!!下ろしてくださいっ・・・!」

「・・・っ、馬鹿!動くな!危ねえだろ・・・っ」

「で、でも、大丈夫なので・・・!」


(下りたい下りたい・・・!)


とにかく、今の状態に耐えられなくて、私はそれからもジタバタと動いてもがき続けた。

黒崎さんが舌打ちをする。

「てめえ・・・本気でこのまま振り落とすぞっ・・・」

言いながらも、ぎゅっと私を抱きかかえ、桟橋の外へと歩いてく。

目指すは、電話中の佐和子おばさま。

近づいた時、ちょうど電話が終わったようで、私の姿を確認すると、血相を変えて駆け寄ってきた。

「咲良・・・!どうしたの・・・!?」

「そこで転んだんですよ。足捻って痛むそうなので」

私に代わり、黒崎さんが説明をした。

すると佐和子おばさまは、「まあ!」と言って心配そうに私の顔を覗き込む。

「大丈夫?こんなところで転ぶなんて・・・」

「すみません。ちょっと、不注意で・・・」

黒崎さんから逃げたくて、なんて、この状況では言えなかった。

けれどおばさまは「そう」と返事をするだけで、私のことを気遣った。

「ここらへん、足場悪いとこあるもんね・・・。ちょっと腫れているのかしら。このまま帰ってすぐに病院で診てもらいましょう」

「すみません・・・。せっかく誘っていただいたのに」

「それはいいから」

なだめながら、黒崎さんの存在にはっとなったおばさまは、神妙な面もちで深々と頭を下げた。
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