冬の恋、夏の愛
試合が終わり、たくさんの人たちがゾロゾロと駅に向かった。オレの隣には、無口な羽島さん。

どうしよう? 事の発端はオレだが、なんて言えばいいのやら。

「関さん」

やっと羽島さんが口を開いた。少し、ホッとしながら「なに?」と返事をした。

「迷惑なら、そう言ってください」

羽島さんの言葉の意味がわからず、「どういうこと?」と聞き返した。

「私、いろんなところに関さんを誘ってしまって。迷惑なんやないかな? と思って」

「別に」

迷惑だと思うなら、そもそも行かないし。

「今日も、迷惑、やった、かな……」

途切れ途切れの言葉。さすがのオレもおかしいな、と気がついて、視線を向けた。俯いた小さな肩が、微かに震えているように見えた。

まずい……。もしかして、泣かせたか? でも、泣かれても。どうしたらいいのか、わからない。

「迷惑じゃ、ない、けれど」

おかしなことに、こちらまで細切れの言葉しか出てこない。

「とりあえず、落ち着こう?」

夜風に当たりながら、無言で歩いた。ときどき、チラチラと羽島さんに視線を向けながら。


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