婚約指環は手錠の代わり!?
「なにかあればいつでも云ってくればいい。
自分の力で解決できないのなら、仕方ないからな」

ふっ、小さく海瀬課長から吐き出された息に、莫迦にされた気がしてかちんときた。

「はい、解決できないときはよろしくお願いします!」

くすり、また小さく海瀬課長が笑う。

絶対、ぜーったい、海瀬課長になんか頼りませんとも!

席に戻ろうとしたら、高見さんと目があった。
新橋さんのことを思いだしてちょこっと会釈したら、眼鏡の奥の目がにこっと笑った。

……うん。
悪い人じゃなさそうだ。

「芹口さん!」

「は、はい!」

イラついた武本さんの声に慌てて返事をする。

「いつまでだらだらしているつもり!?」

「すみません!」

別にだらだらなんてしてないけどなー。
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