婚約指環は手錠の代わり!?
「はい」

片づけをすませて一緒に会社を出ると、海瀬課長は煙草に火をつけた。

「煙草」

「ん?」

「吸うんですね、煙草」

右頬を歪ませて笑うと、とんとんと携帯灰皿に灰を落とす。

「ああ。
酷くイラついてるときは吸いたくなるな」

私が自分の歓迎会なのに、残って仕事してたからだ、きっと。

「……すみません」

「誰が君のせいだと云った?」

……え?
私のせいじゃなかったらなんで?

「……まあいい。
ゆっくり吸わせろ」

煙草を吸う時間を作るためか、歩く早さはゆっくりめ。
私にちょうどいいくらい。

< 21 / 136 >

この作品をシェア

pagetop