婚約指環は手錠の代わり!?
じたばた暴れても降ろしてもらえず、なんだか愉しそうに笑って浴室まで運ばれた。
椅子に座らせるとジャー、シャワーを出す。

「ほら、目、つぶれ」

「は?」

なにを云われているのかわからない。
そもそも、一緒にお風呂ってなんですか?

「あたま洗ってやるから、目、つぶれ」

「自分で洗えます」

拒否してみたものの、笑ったまま海瀬課長は動かない。
はぁっ、小さくため息をついて諦め、目をつぶって俯く。
適温のシャワーのお湯で私の髪を濡らすと、しゃこしゃことリズミカルに海瀬課長は洗い出した。

「朱璃用のシャンプーも買わないとな」

意外、なのが美容院で洗うみたいに絶妙な力加減ですごく気持ちいい。
まだ眠気の抜けきってない身体は、ついうとうとしてしまいそう。
トリートメントまですんで私の髪をすすぐと、今度はスポンジにプシュプシュ、ボディーソープを取ると泡立て始めた。

「えっと」

「身体も洗ってやるが」
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