婚約指環は手錠の代わり!?
「さすがにそれは……」

めちゃめっちゃ恥ずかしくて、身体中が熱くなる。
なのにやっぱり、海瀬課長は笑ったまま動かない。

「……よろしくお願いシマス」

恥ずかしすぎて俯いて目に入ってきたのは、自分の真っ赤になった足。
つま先まできれいに赤く染まってる。
ひとつ頷いた海瀬課長が、私の身体にスポンジを滑らせていく。
するすると優しく滑るそれに変な声が出そうになって、慌てて唇を噛んだ。

「ん?」

海瀬課長の動きが止まって、左手が顎にかかる。
トン、唇に軽く親指がふれて、軽く口を開かされた。

「噛むな。
傷が付く」

じっと私を見つめる瞳。
心臓の音がばくばくと早い。

「物欲しそうな顔してるな」

顔が近づいてきて唇に柔らかいそれがふれる。
ちゅっ、リップ音を立てて離れると、ぺろりと唇を舐めた。

「もっと食べたくなる」

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