婚約指環は手錠の代わり!?
「チョコレート。
一粒五百円するような奴、君は滅多に食べないだろ?」

するり、頬を撫でる手。
顔が近づいてきて再び目を閉じると唇が重なった。

「ん、オレンジの香りが利いてていいな」

僅かにオレンジの香る、甘い吐息で見上げると、右の口端だけがにやりとあがる。

「取引先に手みやげを買うついでに買ったんだ。
まだあるから、残りは帰ってからだ。
あ、今日は残業になるから……」

「先に帰って晩ごはん、作っておきます」

「君が?」

大きく開かれた目が一度、まばたきをした。

そんなに驚くことですか?

「君が僕に料理を?」

まだ驚いてる海瀬課長に軽くイラッとした。

「残業のときくらい、作ります。
いままでそうするべきだったんですよ」
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