SecondWedding


「あ、パパ」

誠さんに引っ張られて入って来た恭介さんは紋付き羽織袴姿。

誠さんに説き伏せられたのね。

でも顔は仏頂面だけど。

「パパもおとのしゃまみたいだね。パパ、ママもおひめしゃまみたいだよ、ほら」

涼に言われて私の方に視線を向ける。

「……」

フフッ、私を見ているその顔はさっきの涼と同じ。

やっぱり親子なのね。

「パパ、ママきれーでしょ?」

「……」

「パパ!」

口を開かない恭介さんに涼が

「きこえてないの?ママきれーでしょ?」

「えっ?あ、あぁ、そうだな」

目を涼に移して

「涼は嬉しいか?ママのこの姿」

「うん。ママおひめしゃまみたいだもん。パパもおとのしゃまみたいだし。あ、パパとママおひなしゃまみたいだ」

「お雛様?」

「うん。ほら、おばあちゃんちにかざってあったあのおひなしゃまだよ」

藤倉の家では瑞穂さんが結婚して家を出た後も毎年お雛様を飾っている。

お母さん曰く『お雛様が悲しむから』って。

それは高藤の家も一緒。

私が大学で家を出た後もずっと飾ってくれている。

うちは涼が男の子だからお雛様はないけど、もし女の子が出来たら私もそうしたいな。




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