SecondWedding
「先ずは花嫁様から」
「は、花嫁様!?」
いくら白無垢姿とはいえ『花嫁様』って…
「クッ」
恭介さんも顔を伏せてしまったじゃない。
「はい、今日は花嫁様でいらっしゃいますよ。例え奥様であっても花嫁衣装を身に着けられたら花嫁様です」
「は、はぁ」
そういうもんですか。
「ほら志織、早く撮ってもらえ」
「は、はい」
スタッフさんにポーズをつけられ撮影が始まった。
カシャッ
カシャッ
カシャッ
カメラのレンズを見つめてシャッターがきられるとまた一層緊張してくる。
「花嫁様、もう少し微笑んで」
いや、そう言われても強ばった笑みしか浮かばない。
「ン、ゥン」
うん?
恭介さんの喉が…
恭介さんを見ると…
さっきまでの仏頂面ではなく笑みが…
ほんの僅かだけど微笑んでる。
まるで私に『大丈夫だから落ち着け』って励ましてくれてるように。
その顔を見てると今までの緊張が一気に取れて…
「あ、そのお顔素敵ですよ」
自然に微笑んでいた。
でもそれはカメラにではなく恭介さんに向けた笑み。
カシャッ
カシャッ
カシャッ
「はい、お疲れ様です」
ふぅ、やっと済んだ。