過保護な副社長はナイショの恋人
だから、ホテル前で待ち合わせだったのか……。思わず振り返り建物を見上げて呆然としていると、雅也先輩のクスッと笑う声がした。

「驚いたろ? ここは、お酒だけじゃなくて、料理も美味しいみたいなんだ。行こう」

肩を軽く叩かれ、先輩のあとに続いた。

「は、はい……」

ソフィスティホテルには、今まで訪れたことはない。高級過ぎて、まるでご縁がなかったからだ。

「先輩、緊張しますね」

甘い香りのするホールには、きらびやかなシャンデリアが輝いている。奥ではグランドピアノの演奏会が開かれていて、落ち着いた大人の雰囲気を醸し出していた。

「そうだな。ここのレストランは、接待で来たことがあるんだ。だけどバーは初めてだし、頻繁に来るわけじゃないから、俺も緊張する」

苦笑いする雅也先輩に、私も苦笑した。てっきりいつも行くような創作料理の店だと思っていたから、心構えができていない。

どうやらバーは、最上階の三十五階にあり、直通のエレベーターがある。

それに乗り込もうとしたとき、

「梶田さん」

背後から声をかけられて、足が止まった。振り向くと、そこには副社長が立っている。

「松谷副社長⁉︎」
< 11 / 94 >

この作品をシェア

pagetop