不機嫌なカレと秘密なつながり
朝、目が覚めると、あたしの肩に彰汰のジャージの上着がかかっていた

「あれ?」

あたしはジャージを掴むと、胸にあるネームの刺繍を見つめた

『KAIDO』と刻まれている

やっぱりバスケ部のジャージだ

どうしてここに?

用事が済んだら、来てくれるって約束してくれたから?

夜中に来てくれたの?

それとも朝方?

「こういうことをして…ズルいなあ、彰汰は」

嬉しいじゃない

あたしは彰汰のジャージをぎゅっと掴んで、抱きしめた

彰汰の匂いがかすかに香る

ジャージのポケットの中から、白い物が見えた

「なに、これ」

あたしはメモ用紙のようなものを引き抜くと、紙を開いた

『このジャージに姫歌の匂いをつけて。そしたら、もっと部活を頑張れそうな気がする』

彰汰の字を読んで、あたしはさっきまでの嬉しい気持ちが一瞬にして消え去った

「馬鹿じゃないの?」

あたしはジャージを投げると、ベッドから足を出した

何、考えてるのよ!

「あいつってば、エロいことしか考えてないじゃない!」

あたしは投げたジャージをキッと睨みつけた

< 31 / 97 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop