東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
蕎麦屋を後にすると、駅へと足を向かわせた。

「本当にいいのかい?」

改札口に到着すると、村坂さんが聞いてきた。

すっかり夜も遅くなってしまったため、彼は私を家まで送ると言い出したのだ。

「いいですよ、村坂さんはここから反対方向なんでしょう?

返って申し訳ないです」

私は首を横に振って断った。

「…まあ、桜井さんがそれでいいと言うならば構わないけれど」

村坂さんは呟くように言うと、
「何かあったら、ちゃんと連絡をするんだよ?

最近は物騒なことだらけだからね」
と、言った。

「わかってます、村坂さんも気をつけてくださいね」

「うん、じゃあ」

「さようなら」

改札口で別れると、ホームへと足を向かわせた。
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