東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
腕時計に視線を向けると、もう少しで10時になろうとしていた。

すっかり遅くなっちゃったな。

ホームで電車がくるのを待ちながら、私はそう思った。

反対側のホームに視線を向けると、村坂さんはスマートフォンで誰かと電話をしていた。

誰と電話しているのかな?

村坂さんも、私と同じ実家暮らしなのだろうか?

…まあ、そんなことを知ってもどうってことはないけど。

それよりも、村坂さんは彼女と仲直りができたのだろうか?

半ば強引に彼に誘われて落語を一緒に見にきたけれど、何の関係もない――彼の勘違いがそもそもの原因な訳だけど――私が一緒にいてもいいのだろうか?

「仲直りできなかったらどうするのかな?」

そう思っていたら、反対側の車線に電車がくると言うアナウンスが聞こえた。
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