東京恋愛専科~または恋は言ってみりゃボディブロー~
チラリと前に座っている副社長に視線を向けると、彼はストローでクルクルとアイスコーヒーをまぜながら片手でスマートフォンを見ていた。

その様子はとても知的でスマートで、彼が“副社長”と言う高い地位にいることを改めて思い知らされた。

私みたいなただのどこにでもいる冴えない派遣社員よりも、副社長にはもっといい子がいるよね…。

美人でかわいくて仕事ができるスマートなパーフェクトウーマンの方が副社長の相手にあっているような気がする…。

「どうかしましたか?」

副社長に声をかけられ、ハッと我に返った。

「い、いえ、何も…」

私は首を横に振って答えると、明太子フランスをかじった。

「そうだ、ケータイのアドレスを教えてくれませんか?

当日に何かあった時に連絡をしたいので」

そう言った副社長に、
「あ、アドレスですね…」

私はスカートのポケットからスマートフォンを取り出して副社長に渡した。
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