きみは宇宙でいちばんかわいい


「あ……あの、けっこう寝起きというか、泣きはらしっぱなしというか、なんにも整えてないから、あんまり見ないでもらえると、嬉しいのだけど……」

「なんで? きなこちゃんは、いつでも、どんなでも、かわいいじゃん」

「まっ、また、そういうこと言う」

「本気だって」


こんなふうにからかわれるのは、いつぶりだろう。

上手に対応できないのは相変わらずで、情けないけど、それでも、いまのわたしには、以前と違う返事だってできるはずだ。


「……彩芭くんのほうが、かわいいよ。それに、すごく、かっこいいと思う」

「え、ちょっと待って、きなこちゃん、急にどうしたんだよ? 心臓もたねーから、褒め殺しするの、やめて、マジで」


意外にも、彩芭くんのほうが照れているのがめずらしくて、ちょっとおかしかった。


なるほど。
これは、いいかもしれない。

けっこう使える迎撃なのかも。

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