きみは宇宙でいちばんかわいい


「𝐴𝑟𝑒 𝑦𝑜𝑢 𝑜𝑘𝑎𝑦?」

「あ……あの、ええと……?」


早口の英語だった。
なにを言われたのか、ぜんぜんわからない。

それでも、青い目をした、背の高い男の人は、かまわずどんどん言葉を重ねていくばかりだ。


ああ、どうしよう、なにを言われているの。

どうしよう、答えられないどころか、一言も聞き取ることさえできないし、どうしよう。


「――𝐸𝑥𝑐𝑢𝑠𝑒 𝑚𝑒.」


どうしようもないどうしようが、どうしようもなく最高潮に達した、そのとき。

ひときわ明瞭な声と共に、いきなりわたしの視界に入り込んできたのは、とても綺麗な金色の髪だった。


わたしにかわり、するすると流暢な英語を紡いでくれている彼こそ、ずっと待ち望んでいた人。

彼は、青い目の男性といくつかの会話を交わすと、英国紳士らしく上品に頭を下げ、最後には笑顔で相手を見送っていた。


「い……い、彩芭くんっ」


安心と、喜びと、
たぶん、それ以外にも。

とにかくいろんな気持ちが混ざりあい、かなりうわずった声で、名前を呼んでしまう。


「久しぶり、きなこちゃん」


それでも彼は、こちらをふり向くなり、相変わらず、完璧に美しく、そっと微笑んでくれたのだった。

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