きみは宇宙でいちばんかわいい


「じゃあ、観光は充分できたとして、あしたは俺のメモリアル・ツアーしようよ」

「メモリアル?」

「うん。小さい頃よく遊んだ場所とか、通ってた学校とか、お気に入りの店とか。きなこちゃんに、俺のこといろいろ知ってほしくて」


そんなの、もちろん、ぜひとも知りたいに決まっている。

彩芭くんがどんなふうな歴史をなぞって、こんなにも素敵な男の子に成長したのか、じつは、ずっと、すごく気になっていたのだ。


「それで、あさっては、嫌じゃなければ、俺の友達に会ってくれない?」

「えっ。友達……って、イギリスの?」

「そう。『この子が俺のガールフレンドだよ。超かわいいだろ!』って、仲いいやつらに自慢したくて、ずっとウズウズしてたんだ」

「ええっ!」


いつも本当に、なんという大胆なことを、平気で言ってのけるのだろう。

そんなふうにハードルを上げられたら、いまから縮みあがってしまうよ。


「でも、いいの……? わたし、英語とかも、ぜんぜんできないのに」

「そんなの俺が通訳するからいいよ。それに俺の友達もみんな、ジャパニーズキュートガールなきなこちゃんに、めちゃめちゃ会いたがってるからさ」


そこまで言われたら、断る理由なんて、ひとつも見つからないのである。

だって、まさか、友達にまで紹介してもらえるなんて、思ってもみなかった。

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