170回、好きだと言ったら。



「まあ…ご丁寧に相手側が沖宮に居場所を連絡で入れて、俺と沖宮、そんで照道が行ったわけやねんけどな。
あの時から沖宮も力をつけるゆーて、飛澤に喧嘩を教わったみたいなんよ」

「何で佐久間さんに教わらなかったんですか…?」

「…さあ、俺にも分からんけどライバルに教わりたくないってのが一理あるんとちゃうかな」

「ライバル……? 佐久間さんとお兄ちゃんが?」

「男ってのはな、ただ一言「仲間」と片付けられるほど簡単とちゃうねん。
沖宮が飛澤に喧嘩売ったのも、同じ理由やろうなあ」


そんな時扉が開いて、あの美人な女性が「今いいかしら?」と声をかけた。


「なんや、桃妃子」

「珍しく私がお茶を淹れてあげたのよ、感謝して頂戴。
それより…、貴方に興味があってお話がしたかったのよ」

「……安易に人に近寄ろうとするんは感心出来ひんで。どうせ俺達の会話聞いとったんやろ?」

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