170回、好きだと言ったら。
●実衣はやっぱり泣き虫だな


《Side:照道》


「……実衣、眠いのかよ」

「んーん……それより、ごはん…」


舌足らずな声で実衣がご飯を作ろうと、バイクから降りようとした。
が、力が入らないのか段々船を漕ぎ始める。


「…本当キライ、実衣」

「んぇ?」


目を擦る実衣を抱き上げて、そのまま横抱きすると何の抵抗もなく俺の首に腕を回した。


今日は俺から実衣を仲間のところへ連れ出したというのに、理不尽なキレ方をしてしまった。

まさか、実衣の泣き顔を見るとは思わず。
少しだけ後悔をしながら、実衣のポケットから家の鍵を取り出した。


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