サヨナラ、大好きだった。
第2章 回想
幼い頃からコミュニケーションが苦手な私は、小学生の頃は静かだと言われていたが中学に入ると暗いと言われるようになった。
調子乗りの男子にあだ名を幽霊とつけられからかわれた。
このくらいの歳になると、恋愛に興味を持ってくるものだが、私はさして興味はなく男子は私の物を盗んだり、弱いものイジメをする奴。
それをカッコイイだの好きだの言う女子程馬鹿らしいものはないと思ってた。
恋愛なんてするだけ時間の無駄だし、体力の浪費。
恋ばななどつくづくつまらない。
こんな考え方になる程私は捻くれていた。
『ねぇ、詩織ちゃんは誰か好きな人いる?』
『男子なんて失せて欲しいな。』
なんて水を差すことを言ったりしたこともある。
中学二年生の時に親に言われて、普通と言われるように性格を合わせた。
カッコイイ可愛い楽しいなどと思ってもいなくても口にだした。
もう何も起こらないと思い諦めていた。
その時、転機が訪れた。
『育児休暇を取った赤川先生の代わりに、今日から担任をします大神と書いてオオカミと読みます。
オオカミって呼んで下さい。
宜しくお願いします。』
どうせ青二才なんだから男子が悪くても味方をする、もしくは女子生徒ばかりひいきして鼻の下を伸ばすんだろうな。
くだらない、まだ口うるさい赤川先生の方がマシだったかも。
なんて毒づいた。

『渋木、この前の提出物のことやけど満点は渋木だけやった』
『ありがとうございます。それでは、』
『え、それと委員会のことやけど。
あの企画大成功で下級生が喜んでたよ』
『褒められても何もでませんよ』
『つれないなぁ』
『私、用事があるので失礼します。』
『ごめんな。忙しいのに引き止めたりして。』
『いえ』
こんなに可愛くない生徒には愛想を尽かしてもおかしくないのに、いつまで付き纏うつもりだろう。
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