2人の王女と2人の騎士
「…随分派手にしてくれましたね」
絞り出すような低い声色が背後から聞こえた。
片手には剣を持ち、ゆっくりと私たちに近づいて来る。
その姿から、ただならぬ殺気が伝わってくるのが分かる。
「セラ、下がってて」
そう言ってイグニスもアレン王子に劣らぬ鋭い目つきで睨んだ。それを見たアレン王子はふっと笑うと、風のような素早い間合いでイグニスに切りかかる。
「くっ…!」
キンッと剣と剣がぶつかる音が大聖堂いっぱいに響き渡った。
「おやおや…押されていますよ?ファルサリアの第2騎士団長がこんなにも弱くて良いのでしょうかねぇ?」
「黙れ…っ」
イグニスはファルサリアの中でもトップレベルの強さを持っているけど、アレン王子の前ではまるで歯が立たないようだった。
ジェシカの言っていた通り…剣を持つアレン王子は別人のように強い。動きに無駄がなく、その一撃は重く強い。
何とか攻撃をかわし続けるイグニスだけど、このままでは一方的に押され続けてしまう。
黙って見ているだけでは歯がゆいから、何か出来ないかと考えていると足元に1本の剣が落ちているのが見えた。
「これなら…」
私だって騎士団に混じって稽古をし続けてきた。
そこら辺の男よりは強い自信がある。
こんな時に自分の力を使わないでどうする。