私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~


高陽さんに突き飛ばされるように、私はベッドに仰向けになった。

「この俺に枕を投げつけて来たのは、君が初めてだぞ」

いつのまにか、彼が私にのしかかってる。

ずっしりと、彼の体の重さを感じる。

「こんな事で、カッとなってるの?
短気な人ね。気の毒な人。誰かに頭から怒られたことないの?」

「当たり前だ。俺は、他人から怒られるようなことはしない」

体重をかけてぴったり体を重ねて来る。

私は、ひるまずに彼に向かって言う。


「まあ。よくその年までお利口を演じてこられたのね」

「仕方ないだろう?みんなが俺に期待してるんだ。俺が期待を外したらみんなが困る」

「つくづくあなたって、大変な人ね」

「奈央、いい加減にしろ。我慢も限界だ。こんなふうに煽られるのも初めてだからな」

彼の吐き出す息が、顔にかかる。

「もう、君には我慢できない」

「怒ればいいのよ。あなたって、怒ったことないの?勝手な人ね」

「勝手?俺のどこが勝手だって言うんだ?」

「全部よ。私のこと妻だって思ってないんだもの」

彼は、ふっと口元を緩めた。

何よ。何でこんな時に笑うのよ。


「じゃあ、聞くが。君は俺の妻になりたいのか?

俺は、君のこと本当に妻のように扱っていいのか?」

彼にとらえられ、ギュッと抱きしめられる。

「えっ?」

「いいのか?本気で俺の物にしても」

脅すような言い方ではなかった。

「高陽さん……」ちょっと待って。

ここは、怒りを爆発させるんじゃなかったの?


「はら、力を抜け。望み通り、俺の好きなようにするぞ」

優しくささやくような言い方だった。


「えっと……あの」


「バカ。冗談だ。そんなに震えて。手なんか出せるか。
今日は、疲れてる。君も早く寝ろ」


くすっと笑ってる。本当に意地が悪い。
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