私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
えっと、あの……

彼は、私に背を向けてゴロンと横になってしまった。

私、どこに寝たらいいのでしょうか?

好きなように寝ろって言われても。


自分の部屋で寝るっていう計画は、無駄だって言ったばっかりじゃないですか?

高陽さんは、ベッドの片方に寄って布団に包まってる。

床に寝てやるか。

彼は、羽根布団を彼がひとりで占領して寝ている。

中にかけてある毛布一枚もらおうかな。

それとも、和室に戻って毛布を一枚取ってこようか。

どうしよう。



寝室の中に閉じ込められて、毎日こんな争いが続くのかな。

それを考えただけで疲れてしまう。

「奈央、怖がらなくてもいいから。こっちへおいで」

高陽さんが、布団をめくって起き上がった。

どうしよう。こっちにやって来る。

私は、ベッドの端に移動する。


とうとう、彼が目の前まで来た。

どうしよう。これ以上後ろに行けない。

私は、彼がすぐ近くにいるという緊張感で、胸が張り裂けそうになる。

「大丈夫だよ。そんなに怖がってるのに。無理に乱暴な事はしない」
彼は、わざと小さな声で言う。

「あの……」彼がそっと肩に触れる。

「もう、いいから。キングサイズのベッドだ。お互いに端と端に眠れば気にならないよ」

「高陽さん……」

「怖がらせてごめん。後で、何かいい方法を考えるから。今日は、もう寝よう」

「はい」

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