私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
「痛っ、何するんだ?」
高陽さんは、とっさに腕で顔を守った。
「知らないの?枕投げよ」
「枕投げ?投げてないだろう。どう見ても叩きつけてる。いったいなんだ?」
「お坊ちゃまは知らないんでしょう?
枕投げの最後は、こうなるのよ。本当にムカつくわ」
私は、もう一度枕を振り上げて、彼の背中を叩いた。
「奈央、止めろって」
「高陽さん、友達とこういうことしたことある?修学旅行なんかで」
「見たことは、あるよ。修学旅行の時、クラスメイトがやっていた」
彼は、私がつかんでる枕を押さえて言う。
「それで?お高い御曹司は、こんなことできるかって仲間に加わらなかったの?」
「違うさ。仲間に加わってたつもりだったが、俺に向かって枕を投げる度胸のある奴は、一人もいなかった。
完全に仲間外れにされたから、誰かを叩く気も起きなかった」
真面目に答える彼に、思わず噴出してしまう。
「お気の毒様。生まれた時から王子様だったものね」
それなら、遠慮なく。もう一度彼の球の上に枕を……
「奈央……」
高陽さんが、枕ごと私を押し倒した。