私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
「明かり消すよ」
彼は、部屋の明かりを消して、フットライトだけ付けて横になった。
私は、薄暗くなった部屋でパジャマに着替えて、端っこすれすれに布団に包まって寝る真似だけする。
早く寝なさいと、彼に促されてベッドに入る。
ベッドの端でほとんど彼のぬくもりを感じない。
これならいけるかも。
緊張が緩んで、うとうとしだした。
本当に疲れていた。
一刻もベッドに入って眠りたかった。
それなのに、絶えずこの人が誘惑するような瞳でじっと見たり。
素敵な声で囁いたり。
怖くない、大丈夫と気を使ってくれる。
彼だって、イラついてるに違いないのに。
私の何倍も疲れてるに違いないのに。
寝息が……
一瞬聞こえて、また途絶えた。
起きてるのかな。
もういい。
考えるのは止めよう。
早く眠らないと明日起きられない。
「ハックション!」部屋中に彼の声が響いた。
「何?」
私はびっくりして飛び上がる。
「ど、どうしたの?」