私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
布団に包まったまま起き上がって、彼がくしゃみをした理由が分かった。

私は、羽根布団と毛布を体に巻き付けて、ベッドの端で転がっていた。

「あっ」
私は、ぐるっと体に布団を巻き付けて寝ていた。

彼の布団まで奪って。

「申し訳ないが、これでは眠れない」

高陽さんは、何もかけずに布団の切れ端を握っていた。

「ご、ごめんなんさい」

平謝りして布団を元に戻す。

「ハクション」とまた、くしゃみが出る。


思わずそっと手を伸ばし、彼の体に触れると氷のように冷たくなっていた。

ああああ……ごめんなさい。

私ったら、なんてことを。

自分ばっかり布団を占領して。

申し訳なさから、慌てて手を握り、両手で彼の手をこすって温める。

「本当にごめん、風邪ひいちゃうね」

手だけではない。

肩に触れると、芯まで冷え切ったような体の冷たさだった。

「どうしよう。こんなに冷たくなって」

私は、高陽さんに抱きつき、こんな風にしてしまったお詫びをしようと思った。


ちょっと冷たいけど、腕を彼の首に巻き付けて、胸が重なるようにぴったりとくっつく。

ひんやりした頬に自分の頬を寄せる。

冷たい。キスするみたいに顔をぎゅっと押し付けると、彼がはっと息をのんだ。

それだけじゃ、足りないよね?

だって、まだ体冷たいもの。

もう少し近づいて、なるべく隙間が無いように彼の体をぎゅーっと抱きしめる。

早く温めるように出来るだけ高陽さんと密着した。


「な、なにしてるんだ、奈央」


「何って。あなたの体を温めてるのよ。見ればわかるでしょう?」

「奈央……君って人は。
今までさんざん我慢してきたんだが……」

「はい」

「お前、俺のこと誘ってるのか?もう限界だ」
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