私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
身体をくっ付け合ったまま、くるんとひっくり返されて、私は高陽さんの下敷きになった。

彼の身体は、もう冷たくなかった。

「温かくなってよかった、高陽さん……」

「ん、そうだねな」

彼の顔がそっと近づいてくる。

あれっと思ったときには、唇が重なっていた。

「責任取れ、こら」

何?何で私、彼とキスなんかしてるの?

じたばたしたら、「じっとして」やさしく諭された。

ゆっくりと触れるような、唇をふわっと包み込まれるようなキス。

そっと離れて、大丈夫か?って目で確かめてくれる。

その合間に、何度もキスを重ねてくる。

どうしたって言うの?

キスは初めてじゃないでしょう?


でも、金縛りになったみたいに、動けないのは初めてだ。

身体が動かなかないなんて。

彼にされるままにキスを続けてる。

頭が真っ白になって、彼に触れられたところが熱くなって。

見つめられると、気が遠くなる。

すっと彼の指が帯びて来て、胸のボタンが一つずつ外されていく。

するっと彼の手が、胸元から入ってくる。

驚いて、言葉が出ない。

心臓が爆発しそう。

ゆっくりと胸を覆うように彼の大きな手が添えられる。

もうだめ。

死んでしまいそう。

「止めて……」

ピクンと反応して彼の手が止まった。

ふうっと、彼が息を吐きだす。


「奈央?ずっと俺の事受け入れられない?どうしても無理?」

イラついてるというより、悲しそうな顔に見えた。

彼のことが嫌いなのではない。

なんて言っていいのか分からないけど、身体ごと結びつくには超えなければならないハードルがあった。

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