私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
思い付きで余計なことを言いだすと、ろくなことがないと思い知らされた。
私の目の前に、無残な姿のサトイモが積みあげられていく。
「ねえ、しげさん。サトイモはこのくらいでいいんじゃないの?」
「お言葉ですが、奥様。
これでは、岩槻家の料理として使えそうなものがありません。
これ以上ちゃんとした芋をむくのは、勿体のうございますから、どうぞあちらのくず芋で練習してください。
小さいのや、形がいびつなのは煮っころがしにしましょう」
「ええっ、それじゃ、こんなにむいたのは?どうするの」
「数に入りません」
「そんなあ」
しげさんの小さな目が、かっと見開く。
「何ですか。奥様!正気ですか?
その包丁の使い方は!今まで何やってたんです?」
「ええっ?」
だって、包丁の使い方なんて、家庭科の調理実習でしか習ったことないもん。
「まったく、奥様は、どこで暮らしてきたんですか?米のとぎ方ひとつできないとは」
「あのね、悪いけど家の事情は、しげさんだって知ってるでしょう?
あの母だよ?
教えてもらうことなんてなかったもん。
あの母がどうだったかなんて、よく知ってるじゃないの」
しげさんは、深いため息をついた。