私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
「岩月奈央さん?」
「奈央さんって呼んでもいい?」
「あ、はい」
高陽さんのこと考えるのは止めよう。
彼女が私の様子をうかがってる。
うろたえない様に、しっかりしなければと自分に言い聞かせる。
部屋の中を見渡したけど、井口さん以外誰もいなかった。
もしかしたら、見えないところに、誰か隠れているかも知れないけれども。
井口さんは一人だった。
それだけは、ほっとした。
正式な妻だというのに、彼女に比べて
私はみっともないくらいに怯えている。
私は高陽さんに、別の女性と付き合っても構わないなどと、偉そうな事を言ったばかりではないか。
今考えれば、
なんてバカなこと言ったのだろう。
高陽さんに間違いだったと伝えたい。
形だけの夫婦の関係を続けるなんて、
とてもできるものじゃない。
私は、高陽さんと過ごした生活が
楽しかったのだ。
今では、本当の夫婦になりたいと思ってる。
私は、本当にバカだ。
一番大事な事に、気が付かなかっただなんて。
きっと、彼女は私が不安に思ってること気が付いているんだろう。
私が震えていることを
見抜いているだろうか?
妻である私を前にして、
こんなに平然としてるんだもの。
「あなたには、お茶を入れるわね。
ごめんなさい。別の物でいいかしら。
私は、コーヒーにしてるの。
カフェイン抜きの。あなたは?
普通のお茶で平気でしょう?」
彼女がティーポットに
お湯を注ぎながら言う。
「はい」
「そう。それはよかったわ」