私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~

彼は、父親になるのだ。


私ではない、別の女性に子供を産ませて。


私より先に、一人で親になるのだ。


子供を産んで、認知して欲しいだなんて……


私は、彼に何と言えばいいのだろう。

顔を真っ赤にさせて、怒ったらいいのだろうか。

怒る?

自分で高陽さんに、別の人と付き合ってと言っておきながら、彼のことを非難するっていうの?

なにを考えてたのだろう。

お飾りの妻にして欲しいと頼んだ挙句に、彼が言う通りにしたらそれを批判するっていうの?


何てこと言ってしまったのだろう。

感覚がマヒしていた。

どうしていいのか分からない。

だから、自分に対する怒りの感情しか湧いてこない。



彼は何と言うだろう。

私のこと、バカな女だと思うだろうな。


本当に彼のことが好きで結婚したなら、すごく怒ればいい。

感情をむき出しにして高陽さんに向かえばいい。


でも、私は彼に好かれて結婚したわけじゃない。

形式的な妻の私は、どうしたらいいの?

彼に感情をぶつけても、冷たくあしらわれるかも知れない。

私の居場所は、ここにはないのかもしれない。

< 140 / 173 >

この作品をシェア

pagetop