私たち政略結婚しました!~クールな社長と甘い生活~
 新宿駅を降りて、通路を抜けると高層ビル群が見える。地下街からまっすぐエレベーターには乗らずに、一度地上に出た。

目の前に形の良い、ガラス張りの高層ビルがそびえてる。

私は、IWATUKI Co., Ltd.(グループ会社全体を統括する)本社ビルを見上げた。

ここに立って見ると、高い雲の上にいる高陽さんとの距離を感じる。

冷たいビル風に煽られて、よろめきそうになりながら本社ビルのてっぺんを見る。最上階の社長室を目で追った。

この前、ここに来たときは、自分が何のために呼ばれたのか見当もつかなかった。

今も、どうなるのか分からないのは、一緒だけれど。

大きく息を吸って、祈るようにポケットの中の小さな箱を握りしめる。

「よし」と、自分に喝を入れて、本社ビルの正面から入って行く。


高陽さんには、きちんとアポイントメントを取った。

妻だとは名乗らずに、岩槻奈央ですと伝えた。

実際に出たのは、彼の秘書で、高陽さんと話したわけではない。

高陽さんに会いに来たと伝えると、この間と同じように最上階に案内され、扉が開かれた。
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